恋ってやつを教えてやるよ。

花火……ジロはやっぱり、茅野さんと見るのかな……?




───ピト。



「ぴゃあ!?!?」



まだ回想の世界から戻りきらないうちに、頬に強烈な冷たさを感じて思わず飛び跳ねる。



「ぶは!ウケる。何だ”ぴゃあ”って」


「ジロ!!」



ぴゃあの原因は、どうやらジロらしい。


キンキンに冷えて、缶の周りに汗をかいたジュースを持ちながら、大口開けて笑ってやがる。


その隣で高峰くんもクスクス笑ってる。


二人ともいつの間にか自販機から戻ってきていたらしい。



「ビックリするからやめてよ!!」


「怒んな怒んな。これやるからよ」



たった今、私の頬にあてた缶をジロが私の頭の上に乗せる。


手に取り確認すると、私の大好きなメーカーのミルクティー。



「それ、新発売だと。お前、ミルクティー好きだろ?」



私の反応を待つようにニコニコした笑顔を向けるジロ。



新発売のミルクティーを見つけて、私に買っていってあげようと思ったってこと……?



ジロのこういうところ、本当にずるいって思う。




「………ん。大好き」



無意識に綻ぶ顔を抑えきれず、伏し目がちにそう呟けば。
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