恋ってやつを教えてやるよ。

この時の私は、自分のことで精一杯で、


高峰くんがどんな気持ちで私とジロのやり取りを見ていたかなんて、気づきもしなかったんだ。















「おーい!そっちにガムテあるか!?」


「買い出し班!絵の具足りてねーよ!」


「こっちも手伝って〜!」



校内が文化祭準備で慌ただしくなる中、うちのクラスも例外ではなく……。



「何でよりにもよって、こんな面倒な出し物に……」



バタバタと人が行き交う教室で、私はブツブツと文句を言いながら、クラスの出し物の看板に絵の具を塗りたくっていた。


看板には、コーヒーカップの可愛いイラストと一緒に『メイド&執事喫茶』とでかでかした字でペイントされている。



「そう〜?私は結構楽しみだけどなぁ。美恋のメイド服姿」


「も〜、他人事だと思ってさ!幸は裏方だからそういうことが言えるんだよ!」



文化祭当日、お客さんにドリンクやデザートを提供するのは、クラスの中からくじ引きで選ばれた女子6名男子6名の計12名。


午前午後の交代制で、女子はメイド服、男子は執事服を着る決まりになってる。


そして、3日ほど前のLHRで当日の役割分担を決めることになったわけだけど……。
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