恋ってやつを教えてやるよ。
「そんな運命知るかーーっ!!!」
私はジロの手をはたき落として、スクールバッグの持ち手をギュッと掴む。
「あんたなんかに恋を教えてもらうくらいなら、一生恋なんてしなくていいっ!!絶対に恋活なんかしませんよーだっ!!ジロのバーーーーカ!!!」
そう言ってジロに思い切りあっかんべーをすると、私はすぐさま猛ダッシュで駅へと走った。
「なっ…!てっめぇ!コラ待て!!!」
ジロのそんな声を背中に受けながら、心の中で決意を固くする。
もうこうなったら、意地でも恋なんかしない!!
ぜーーーーったいしないんだから!!!
*
「…………。あのさ。あんた達、鬼ごっこでもしながら来たわけ?」
教室に着くなり膝に手をつき、ゼェゼェと肩で息をする私とジロを見て、幸が不思議そうに眉根を寄せる。
「ジロが……追いかけて……くるからっ……!」
「お前が……逃げる……からだろがっ……!」
「まぁまぁ、二人共とりあえず落ち着こう?」
おでこがくっつきそうなほどギリギリと睨み合っている私達の間に割って入って、高峰くんが私とジロの頭をポンポンと優しく叩く。