恋ってやつを教えてやるよ。
「何があったの?ジロはともかく、美恋ちゃんがそんなに余裕ないの珍しいね」
私の頭をなでながら、穏やかな笑みを浮かべる高峰くんは、まるで同い年とは思えない落ち着きよう。
今まさに彼の後ろで、私に向かってバカにした変顔を向けてくる、どこぞのくそったれとは大違いだ。
「高峰くん!高峰くんからもジロになんとか言ってやって!ジロのヤツ、私に恋活なんてもんをさせようとしてくるの!!」
「へ?恋活?って、美恋ちゃんが?」
「自分に好きな人ができたからって、私にも恋しろって!むちゃくちゃ過ぎると思わない!?」
ほんと、むちゃくちゃなんてもんじゃない!
あのジロが恋したってだけでもわけがわからないのに、私が恋活なんて……!!
まだ明日からオリンピック選手を目指せって言われた方が、私にとっては現実的な話だ。
「それは、お前がいたいけな少年の恋心をバカにするからだろ!?っておっっまえ、何さり気なく俺のプライバシー暴露してんだよ!!!」
「へぇ。ジロ、好きな人できたんだ?あ。わかった。茅野さんだろ?最近やたら話題に上がると思ったんだよね」
「えー!?元木が恋!?茅野さんって、あの茅野さん!?うちのクラスの!?うっそ!面白いからみんなに話してもいい!?」