恋ってやつを教えてやるよ。
「俺のプライバシーどこいった!!!」
さっそくみんなに言いふらしに行こうとする幸を必死の形相で止めるジロを横目に、小さな溜息を一つつく。
それを見ていたのか、高峰くんがまた私の頭に手を乗せて、眉尻を下げて優しく微笑んだ。
「そっか。美恋ちゃんは、ジロが恋しちゃって寂しいんだね」
「……え?」
寂しい?
「余裕がないのは、だからでしょ?」
「ち、違うよ!なんか違う!」
「あれ?違うの?」
「わ、私はただ……なんか、裏切られた気分で……」
ジロが言ったんじゃない。
私がいればそれでいいって。
だから、安心してたのに。
私はこのままでいいんだって。
周りについていけなくったって、置いていかれたって、
ジロさえ同じペースで歩いてくれていればそれでいいって。
だから、焦らずにいられたのに。
それなのに、ジロが勝手に先に進んで行っちゃうから……。
「……なんか、妬けるなぁ」
「え?」
「ううん。こっちの話」
高峰くんはハテナを浮かべなから首を傾げる私にそう言って微笑むと、私の頭をポンポンとなでて、今度は幸にグダグダ絡んでいるジロをなだめに入った。