恋ってやつを教えてやるよ。
ジロの恋する姿を間近で……?
ジロがるんるん恋に浮かれてるのを観察しろと?
キュン!とか、萌え〜!とか、ほざいているのを間近で見ろと?
どうしよう……。
想像してみたけど、殺意しかわいてこない!!
「おおっ!宍戸にしてはナイスアイデアだな!いいぞ美恋!俺の恋する姿をその目に焼きつけろ!」
「待ってよ……。それ、ほんと拷問でしかないんだけど……」
そんな私の訴えは、もはやジロと幸の耳には届かないようで、二人はやんややんや勝手に盛り上がってる。
当事者をおいていかないでくれ!
「いいんじゃない?」
「高峰くんまで〜」
「はは。そんな身構えなくても、ジロの姿を見てそれでも興味がわかないって言うなら、ジロも諦めがつくでしょ」
「そうかなぁ?ジロのヤツ、変なとこしぶといからなぁ……」
“それに、もしも興味がわけば、俺にも好都合だしね”
「え?高峰くん。今何て?」
「ん?何が?」
あ、あれ?空耳だったかのな?
今なんか……。
「みーこ!」
「うわっ!」
ガシッとジロに肩を組まれ、バランスを崩す私。
「よそ見してないで、俺のことちゃんと見てろよ?」
私の耳に口を近付け、ジロが囁くようにそう言う。