恋ってやつを教えてやるよ。
ズズイッとこちらに身を乗り出してくるジロ。
「恋活する気になっただろ?」
真剣な眼差しで、私の目の中を覗き込んでくるけど。
「なるわけあるかっ!!!」
「えー」
「えーじゃないっ!」
ブツブツ言ってるジロを横目に、大きな溜息を吐き出しながらイスに座り直す。
ジロのヤツ、朝からずっとこの調子だ。
私に恋させるためだかなんだか知らないけど、ジロの惚気話とか本当に勘弁して欲しい。
気持ち悪いっていうか、くすぐったいっていうか、いたたまれないっていうか……。
このままじゃ、間違いなく私の身がもたない。
げっそりしながら、もはやストレスで味を感じなくなった牛丼を口に運んでいれば。
「仁郎くん!」
「うおっ!」
突然背後からジロにおっぱいアタック……じゃなくて抱きついてきたのは、隣のクラスのなんとかさんっていう女子。
名前……なんだったっけか。
「仁郎くぅん!いつになったらまりんと遊んでくれるのぉ〜?」
まりん……まりん……。
あ。そうだ。岡部まりんだ。
確か、入学早々ジロに告って玉砕するも、めげずにずっとジロにつきまとってるんだよね。
というか、この岡部さん。