恋ってやつを教えてやるよ。
3*自分磨きをしましょう。
「恋活してみることにした」
恋活することを決意したその日の放課後、私は早速ジロにその旨を伝えた。
「……え?」
帰り支度をしていたジロは、キョトンとした顔で私を見ると、何のことかようやく理解したようでみるみる目が輝き始める。
「だっ!」
「わぁっ!?」
「だから言っただろ!?俺の話を聞いてれば、お前も恋がしたくなるって!!」
興奮からかキラキラした顔で私の肩をガシッと掴むジロ。
すぐにはっとした顔をすると、冷静を装うようにやれやれ、とわざとらしく首を横に振った。
「どうせこうなるんだから、最初から抵抗なんてするんじゃねーよ」
その表情からは『ほら言わんこっちゃない』という心の声がだだ漏れてやがる。
うわー。
なんちゅー憎たらしい顔……。
やっぱり、早まったかな……。
明らかに調子に乗ってるジロの様子に、口角が引きつって仕方ない。
ってか、あんたの惚気話になんて、1ミリも心動かされてないっての。
……と言ってやりたい気持ちはやまやまだけど、今日のところはやめておこう。
無駄な言い争いは時間の無駄だ。
時間は有限。タイムイズマネー。
それよりも先に、本題に入らなきゃだよね。