恋ってやつを教えてやるよ。
「言っとくけどな、一花もノリノリだったぞ?美恋が恋活するって言ったら、何かめっちゃ張り切ってた。近々うちに寄れってさ」
「なっ……信じらんない!あんた一花ちゃんにまで恋活のこと言ったの!?」
「あれ?ダメだった?」
ダメっていうか……。
今まで一花ちゃんに『美恋ちゃんは好きな子いないの〜?』とか恋バナをふられても、『興味な〜い』とか返してたんだよ。
それが突然恋活とか、恥ずかし過ぎるでしょーがっ!!
「……もう、いい。ジロにデリカシーとか少しでも期待した私がバカだった」
「何だ急に。喧嘩売ってんのか〜?」
「いいから、話進めて。なにゆえ、私に化粧品なんか買ってきたのか、わけを教えて」
ジロはファイティングポーズをやめて、かわりに腕組をすると、目を瞑って小さく息を吐く。
それから少しすると、カッ!と目を見開いて、私に人差し指を突きつけてきた。
「恋活そのいち!!自分磨きをしましょう!!」
「……自分磨き?」
ジロは、目を瞬かせる私の周りをゆっくりと歩き出す。
まるで私を品定めをするかのように、頭の天辺からつま先までを観察しながら。