恋ってやつを教えてやるよ。
「傷んだ髪。放置された顔面。ガサガサの唇」
「……は?」
じろじろ見てきて何なの!?
「荒れた指先。毛玉だらけのカーディガン。シワが入ったスカート。はっきり言おう。美恋。お前は女子力の欠片もない」
なんだとー!?
「うっ、うるさいなっ!!大きなお世話だしっ!!」
幸も高峰くんも見てる前で何言ってくれてんだっ!!
てか、幸!そんな可哀想な目で私を見ないでくれる!?
高峰くん、私を気遣うその笑顔が逆に切なくなるからやめて!!
2人の前ではずかしめられた私は、真っ赤になりながらジロを睨みつけた。
「そんな女子力じゃ、お前を女として見る男はほとんどいない」
「ちょ……そこまで言う?」
「ゆえに!お前の恋する対象の範囲も狭まるわけだ」
「う……」
……ま、まぁ、ジロの言ってることもわからなくないけど。
てか、珍しく的確なこと言ってる気もするけど。
確かに私はずぼらだし?
他の女子達みたいに、自分メンテナンスを楽しめる性格では全くないし。
メイクやらネイルやらって、大人の真似事してるみたいで気が引けるというかなんというか……。
そもそも、自分の容姿になんて全く興味無い。