恋ってやつを教えてやるよ。

まぁ、そんな性格が災いして、この有様なわけだけど……。


せめてカーディガンくらいは買い替えとくべきだったかな。



ジロの指摘に、幸も高峰くんも「なるほどね〜」と感心してる模様。


うーーん。複雑。



「つまり、恋をしたいなら、まずお前が変わる必要があるってわけだ」


「変わるってどうやって?」


「今日から、自分磨きを習慣づけろ」



自分……磨きだと?



「えぇ〜」


「コラそこ!嫌な顔しない!」



面倒臭い。ものすごく面倒臭い。


自分磨きとか、心底どうでもいい。


「あ。でも凄い!確かにこの化粧品、美恋に似合いそうなのいっぱいあるよ!」



それまで黙って私達のやり取りを見ていた幸が色つきリップ片手に声を上げる。



「まぁ、他の化粧品はおいおいとして、リップくらいつけてみてもいいんじゃないかな?唇切れちゃったら、美恋ちゃんも痛いでしょ?」



高峰くんまで!!!



「いいい、いいよ!いらない!そういうのつけるの、何か自意識過剰みたいで嫌だ!」


「それどんな偏見よ。そんなこと言ったら、世の中の女子はみんな自意識過剰でしょ」


「そうだけど!私は嫌なの!!」



私の口元にリップを近づけてくる幸の手を押し返し、必死の抵抗。



今この場でつけたら、同時にみんなに評価もされちゃうわけでしょ!?
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