恋ってやつを教えてやるよ。
そんなの無理!絶対無理!!


メイクなんて絶対に似合わないもん!



「往生際が悪い」



頭上からそんな言葉が落ちてくると同時に、顎に添えられた手によって、私の顔が強制的に上向かされた。


驚いて目を見開くと、真剣な顔のジロが私を見下ろしている。



「この体勢腰がいてぇ。お前も立て」


「えっ……」



何かの催眠術でもかけられたみたいに、私はジロの言う通り椅子から立ち上がった。


ジロとの身長差は20センチ以上もある。


それなのにぐっと距離が近くなって、何だか居心地が悪い。



ていうか、何なんだこの体勢は。


ほら。あれだ。


何かの漫画のキスシーンでこんなんあったような……。


……え?


キス?


待て待て!


私、今ジロなんかで何想像した!?


ぶわっと顔が熱くなる。



「は、離して!」


「喋んな!上手く塗れねぇだろ!」



ぬ?



よく見ると、ジロはものすごく真剣な顔で、幸から受け取ったリップを私の唇に塗ろうとしていた。



ヤダって言ってるのに!!



「う〜ってしろ!う〜って!」


「しないっ!ヤダヤダやめて!!」


「だーからっ!喋んな!う〜しろって!」


「うるさいっ!!くるな!!バカバカ変態!!」


「変た……」
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