恋ってやつを教えてやるよ。

「お、おはよう幸(さち)!ビックリするから普通に声かけてよ!!」


「へへっ!ビックリさせたかったんだもーん」



私の首に絡みつき、べっと舌を出してるこの子は、クラスメイトの宍戸幸(ししどさち)。


高校に入って、私が一番に仲良くなった女の子だ。


幸は私に抱きついたまま、明るめのボブヘアーを揺らして後ろの席を振り返ると。



「元木と高峰くんもおはよー!相変わらず仲良いね!あ!もしかして、二人ってそういう関係?うんうん!それはそれでいいと思う!」



と言って、うんうん頷きながら何かを一人で納得してる。


真っ青な顔で凍りつくジロと高峰くん。


実は幸、ちょっと性格に難ありなのだ。



「きっっもいこと言うんじゃねーよ宍戸!!一瞬で体感温度氷点下だわ!!」


「あれー?違うの?残念ー!」


「お前、わかってやってんの知ってんだかんな!!」


「えー?何がー?」


「……宍戸さん。今日もパワフルだね」


「えへへ。まーねー」



まだグチグチ文句を言ってるジロを無視して、幸は私に向き直る。



「ねぇ、美恋!今日の放課後空いてる?久々カラオケ行こうよー!」
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