恋ってやつを教えてやるよ。
う"……。
それを言われたら返す言葉が見つからないじゃないか。
どうやらジロも同じだったようで、一度何か言いたそうに口を開いたけど、すぐにちっと舌打ちをした。
悔しいけど幸の言う通り。
私は未だかつて、恋なんてしたことがない。
したいと思ったこともない。
恋してる自分なんて、全くもって想像がつかないから。
溜息をひとつ吐き出し、机に頬杖をついて、クラスの中を見渡してみる。
あの子も。
あの子もあの子もあの子も。
みんな、恋してるのかな?
何で恋なんてするんだろう?
何がそんなに楽しいんだろう?
恋をしたらどうなるの?
どんなことが待ってるの?
「いいんだよ!俺達には恋なんて必要ないの!な!美恋!」
ガシッ!と私の肩に腕を回してくるジロ。
「えー?何で?元木は彼女とか欲しくないわけー?もしかして、女子には興味ないとか?」
「だっから、何でそうなるんだお前は!!俺は女の子が大好きだ!!俺の頭の中は女の子でいっぱいだよ!!」
「うっわ。それはそれで引くー……」
「うん。引く。ジロ、ちょっと気持ち悪いから触らないでくれる?」