恋ってやつを教えてやるよ。

「は?しっくり……?」



ジロが何を言いたいのかわからなくて、あからさまに首を傾げると、突然ジロが右手を差し出してきた。



「え?何?私、手相とか見れないんだけど」


「ちげーよ。お前の左手貸せ」



左手?


何かよくわからないけど、とりあえず言われた通り左手を差し出してジロの手に重ねる。


すると、ジロがギュッと私の手を握ってきた。



「な、何してるのよ!」



まさか手を握られるとは思っていなくて、変に動揺してしまう。


顔が熱くなってくるのがわかって、慌てて手を引っ込めようとしたが、ジロは離してくれない。


それどころか、逆に手に力を込められてしまった。



気でも触れたかこの男は!


手を握るとか、恋人同士じゃないんだからさ!!



「……昔は、よくこうやって手繋いで帰ったよな」


「へ?」


「小学生の時とか」


「小学生の時……?」



忘れかけてた、昔の記憶がよみがえってくる。



出会ってすぐは、喧嘩ばかりだった私達。


だけど、道端で弱った子猫を拾ったことがきっかけですぐに仲良くなった。


結局子猫はうちで飼うことになって、真っ白な毛色からホイップって名前になって。
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