恋ってやつを教えてやるよ。
部屋に入ると、制服を着替えるより先に、俺はベッドへとダイブした。
「はぁぁぁ……」
自分でも驚くほどでかい溜息を無意識に吐き出す。
それからゴロンと仰向けになって、真っ白な天井を仰ぎながら、さっきの出来事を思い出した。
……美恋の手って、あんなに小さかったか?
感触が残った手を何となく天井にかざす。
小さな手。細い指。
ゴツゴツした俺の手と違って、柔らかい手のひら。
子供の頃は、俺の手とほとんど変わらなかったのに……。
「女の子……なんだよなぁ」
んなこと言ったら、美恋に“当たり前でしょ!”ってキレられるかな?
多分キレられるよな。うん。
だけど、正直俺はこれまで、美恋を女の子として意識したことなんか一度もなかった。
10年間、四六時中そばにいたんだぞ?
そんなの家族も同然だろ?
男とか、女とか、そんな概念すらなかった。
だけど……。
────“美恋ちゃんが恋をする相手、俺じゃダメかな?”
「……っ」
天井にかざしてた手で前髪をグシャグシャっとかき乱す。
────“他の誰かじゃなく、俺を好きになってよ。美恋ちゃん”
────“え……あ……”
裕也の言葉に真っ赤になった美恋を見て、正直胸がザワザワした。