恋ってやつを教えてやるよ。
興味津々の一花に、今日あったことを一通り話すと、一花は「なるほどねぇ」と顎に手を当てた。
「それであんた、そんな顔してるわけだ」
「は?そんな顔ってどんな顔だよ」
「大切にしてたものを横取りされた子供みたいな顔」
……は?
「……意味わかんね」
と、言いつつ俺はかなり動揺していた。
自分でもわけがわからないこの“しっくりこない”って感情の正体を、まんまと言い当てられた気がしたから。
「美恋ちゃん取られそうで、内心焦ってんでしょ」
「ば……んなわけねーだろ!何で俺が焦らなきゃなんねーんだよ!」
「その裕也って子を美恋ちゃんが恋愛対象にしたから妬いてるんでしょ?」
妬く……?
俺が?美恋に?
「あのなぁ!妬くって、そんなん……恋愛的な意味で好きなヤツにするもんだろ?美恋のことは好きだけど、そんなんじゃねーから!」
何で今更こんなこと言わなきゃなんねーんだ。
一花だって、今まで俺らが兄妹みたいに過ごしてきたのを見てるはずだろ。
てか、俺の好きな子は茅野だし。
美恋にヤキモチとか、そんなの妬くわけねーし。
つか、美恋へのこの感情はそんなんじゃなくて。