恋ってやつを教えてやるよ。
ずっと仲良くしてた幼なじみとの関係が変わっていく違和感で。
俺は、これからどんなにお互いが変わっていこうと、大人になっていこうと、じじぃばばぁになろうと、美恋とはずっとバカやって笑ってたいって思ってるから。
その関係を脅かされるのが、ただ怖いだけで……。
って、いや待て。
美恋が裕也を好きになったからって、別に俺達の関係が脅かされるわけじゃないだろ。
俺は今まで通り、美恋と幼なじみでいればいいだけの話しじゃんか……。
ん?それじゃ、俺は一体何にビビッてんだ?
うわ。何かわけわかんなくなってきた!
クローゼットの前で頭を抱え座り込む俺の心の中を見透かしたように、一花が冷ややかな視線を向けてくる。
「……あんたって、昔から頭は悪くないけど、総合的に見て限りなくバカだよね」
「なっ……!うるせー!それが姉の言葉かよ!?」
「まぁ、いいわ。私がどうこう言うことじゃないし。ただ、姉としてこれだけは言っておく。手遅れになって後悔すんじゃないわよ」
人差し指を突きつけながらそう言うと、一花はクルリと身を翻し、部屋から出て行ってしまった。