恋ってやつを教えてやるよ。

思わず頬が緩む俺に、本田はじと目を向けると「この裏切り者!」と言って、泣きながら校舎の中に消えていった。



何なんだアイツは……。



俺は、上履きに履き替えている茅野の隣に並ぶと、下駄箱から自分の上履きを取り出し、すのこの上に放る。



「今日は、飯島さんと一緒じゃないの?」


「美恋?アイツは今日、朝から図書委員の仕事あるって」


「そっか!飯島さん、図書委員か!」


「似合わないよな」



ふはっ!て思わず吹き出す俺。



美恋と図書室とか、ミスマッチ過ぎてマジ笑える。


仕事が楽そうだったからとかいう理由で選んだらしいけど、アイツが本なんか読んでるとこ見たことないのに。


むしろ、本屋に行くと腹が痛くなるとか言ってるヤツがだぞ?


やば。


考えれば考えるほど笑えてくる。



込み上げてくる笑いを抑えるように肩を揺らしていたら、茅野が俺の方をじっと見つめていることに気付いた。



「なに?」と首を傾げると、茅野の顔が真っ赤に染まる。



「あ!う、ううん!元木くんて飯島さんと仲良いなぁって思ってね!」


「?まぁ、幼なじみだからな」


「そ、そっか……。でも……本当にそれだけ?」
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