恋ってやつを教えてやるよ。

不安気な表情で俺を見上げてくる茅野。



うわ。


上目遣い可愛いかよ。


…じゃなくて、何で茅野はそんなこと聞いてくるんだろう?



目を瞬かせていると、手をバタバタさせて「変なこと聞いてごめんね!」と茅野は慌て出した。



「別に大丈夫。聞きたいことあったら、何でも聞いて」



俺がそう言うと、茅野は安心したように笑った。



本当、茅野って動き一つとっても可愛いよな。


これぞ女の子って感じで。


前にどっかの男子が、“守ってあげたくなるタイプ”って言ってたのもわかる気がする。


そう思うと、美恋とは大違いだよな。


アイツは、俺の前で平気で大口開けて笑うし、しまいにゃ笑い過ぎてオッサンみたいにむせるし。




「茅野って、小動物みたいだよな」と俺が笑うと、茅野はまた真っ赤になって、「それどういうことー?」と頬を膨らませた。




ほら。


やっぱ、茅野といるとドキドキする。


可愛いなって思う。


この気持ちが、いわゆる恋ってヤツだろ?


俺が好きなのは間違いなく茅野だ。


ヤキモチとかそんなもん、美恋に妬くはずないよな。


ましてや、手遅れとか後悔とか。


そんなの意味わかんねーし。


するわけねーし。
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