桜恋華
それからずんずん雑木林を進み、少しだけ開けたところに出て来た。真っ昼間なはずなのに、辺りは薄暗い。どう考えても変だ。
「オイ。」
「はははぃぃっっ!
って空耳か?誰もいないし、後。」
そうだよ、仮にも前にいるのはこの変なブタさんだけ。いくらなんでもブタがしゃべるわけ…
「オイっちゅーとんやろが!前や、前!」
「えーっ?だって前にはブタさんしか……!」
「だぁれがブタさんや!わいはカミサマや!」
ブタさんは怒ったのか青筋を立てて跳びはねてる。
「うぉっ!ブタがしゃべったぁ!!あたし幻覚と幻聴が聞こえるよーそんなに老け込んだかな?」
「誰がブタやて〜!?
ったく、まぁええわ、後でぎょうさんお仕置きしたるわ!覚えとき!!ところで、お前、名は?」
「あ、藍染架。」
とりあえず名乗っておいた。けど、あたしってば変な生物になに大人しくしたがってんだろ?
「ふーん。」
「ふーんって…あんたから聞いたんでしょーが!」