君と僕の歩幅
出会い
ねぇ、初めて見たときに、他の人とは違う何かを君に感じた…なんて、よく聞くフレーズの真似っ子じゃないけれど。

僕は確かに感じた。君を見た瞬間。

どくん…

強まった鼓動。甘酸っぱい思いが心をじわじわ熱くして、頭にまで回ってきて僕の顔を真っ赤にした。

咄嗟に、そう咄嗟に。
口に出した。

『君の、なまえは?』

君は戸惑いながらも笑顔で答えた。優しいえくぼの浮いたはにかみ笑顔だったけれど。

「俺?俺は、アキラ。」

『あ、あきら君…あのっ、今日から、よ、よろしくね…?』

焦る僕を、苦笑いで見ながら優しい声で答える。もう、もうこの時点で自分でも分かっていた気持ち。

抑えながら、アキラ君を見ていたら。

「うん。よろしく…君は?」

『へ?』

「名前。」

『あ、!な、なまえ!』

「そんなに、焦らなくても…w」

一息ついてから、頑張って笑いながら答えた。
今思えば、とてもぎこちない笑顔だったかもしれない。

『鈴華!…熊谷、鈴華…!』

「スズカ?じゃあ、スズちゃんでもいいかな?」

『…うん!』

アキラの笑顔は、はにかみ笑顔から眩しい笑顔に変わっていた。
嬉しくて、天にも舞い上がる気持ちだった。

さらに幸せな日々が、これから始まる。
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