君と僕の歩幅
入学式に、話しかけてくれたこと、今でも覚えてる。
君は焦りながら、俺にぎこちない笑顔で名前を呼んでくれたことも。

今思えば、あの頃から少し特別だったかもしれない。

『あの…アキラ君?』

入学式も終わり、皆学校に慣れた頃。スズカはまだ友達が出来ない、と悩んでいた。

「暁で良いって。…なに?」

『あっ、す、すいませ…あ、アキラ…あの、どうしたら友達できますか?』

「謝らなくてもいいのに…ん?ああ、俺に話しかけてくれたみたいに話しかけて、LI○E交換して…あとは流れだな?」

『ううう、その、「流れ」がわからないんです!!』

スズカは俺を軽くポカポカ殴り、頬を膨らませた。スズカは人と話すのが苦手で、友達は欲しいが出来にくいタイプらしい。
俺はそこそこ友達が居るが、皆もそれぞれ友達が居てあまりずっとは一緒に居ない。

まあ、スズがずっとくっ付いてるから暇はしない。

「じゃあ、今度俺の友達連れて一緒に遊ぶか?友達になれるかもしれねーぞ?」

『ぼ、僕…男子怖いんですけど…大丈夫ですかね…?』

スズカは、男性不信らしい。
俺も男なんだけど…

「俺と話せてるから大丈夫。…多分」

『…多分。』

そういえば、俺以外と話してるスズカの姿を見たことないな。

「…なぁ、スズ。俺にくっ付いてるから友達できないんじゃ?」

『え!?…く、くっついちゃダメですかね…?』

「いや、ダメじゃないけど…俺以外とも話した方がいいんじゃないかな、と。」

あれ?自分で言ったのに…俺以外と話してる姿想像したら無性にもやもやする。

へんなの。

とりあえず、スズカに友達は出来てほしい。

『うう…頑張ってみます!』

「おう、頑張れ。…友達できたらいいな。スズカ。」

『…うん。ありがとう、アキラ!』

くしゃりと笑う笑顔は、名前の通り華やかで。モテそうなのにな、スズカ。
話せば面白いから女子にも男子にも。

男子にも。
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