アスカラール
「噂では何となく聞いていたけど、本当に美都を狙っているとは…」

沙保はそう呟くと、
「それで、美都としてはどうなのよ」
と、聞いてきた。

「私?」

自分を指差して聞いた美都に、
「当たり前でしょ」

沙保は言い返した。

「高崎さんはかっこいいと言えばかっこいいし、優しいけれど…」

美都はそこで言葉を区切ると、
「私は、やっぱりお父さんかお兄ちゃんみたいな人とつきあいたい」
と、言った。

その答えに沙保は呆れたと言うように、手を額に当てた。

「やっぱり、そう言うのね…」

沙保は呟いた。

「えっ、どうしたの?」

そんな彼女に美都が声をかけたら、
「哀れ、高崎さん…」

沙保は美都に気づかれないように呟いた。
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