アスカラール
「んんっ…!」

その反応に、美都は慌てた。

(美味しくなかったのかな…?

もしかしたら、甘いものが嫌いだったとか…?)

心の中で呟いていたら、
「美味い!」

成孔が笑顔で言った。

「えっ、美味いですか…?」

思っていたとは違うその返事に、美都は拍子抜けした。

「うん、美味いよ。

オレンジの香りがフワッとしてるし、チョコレートも美味しいし、紅茶にもよくあってる」

成孔はそう言うと、紅茶を口に含んだ。

「よ、よかった…」

そんな彼の様子に、美都はホッと胸をなで下ろした。

「えっ、どうしたの?

何が“よかった”の?」

美都の様子に成孔は訳がわからないと言うように聞いてきた。

「その…今日までちょっと不安だったんです。

成孔さん、オランジェットが嫌いかなって思って」

そこまで言って、美都はハッと我に返った。
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