アスカラール
(私、何を言っているんだろ)

このことは絶対に彼に話さないつもりだったのに、口をついてうっかりと全部しゃべってしまった。

「それはつまり、俺のことを考えていた…と、そう解釈してもいいのかな?」

成孔が顔を覗き込んできたかと思ったら、そんなことを聞いてきた。

「か、考えていたと言うか…。

ただ七夕祭りに一緒に行ってくれたお礼がしたかっただけなので」

呟くように答えた美都に、
「俺が一緒に行きたいって言ったんだけどね」

成孔は返事をすると、オランジェットを口に入れた。

「美都は食べないの?」

成孔が袋を開けながら聞いてきた。

「私は味見をした時に食べましたので」

美都が答えたら、
「そう」

成孔はオランジェットをかじった。
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