アスカラール
まるで嵐のようだと、美都は思った。

バタンとドアが閉まったことを確認すると、
「あー、めんどくさいなあ…」

成孔はソファーにもたれかかった。

「な、成孔さん…?」

呟くように名前を呼んだ美都に、
「ああ、ごめんごめん」

成孔はもたれかかっていた躰を起こすと謝った。

「さっきの女性は俺の秘書、雑賀ちゃんって言うんだ」

成孔が言った。

「そうなんですか…」

それに対して、美都はそう返事をすることしかできなかった。

「何か…変なところを見せちゃってごめんね?」

そう声をかけてきた成孔に、
「気にしてないからいいです…」

美都は首を横に振ると、目をそらしたのだった。

(あの人、すごく美人だったな…)

美都の頭の中にあるのは、先ほどの彼女の存在だった。
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