アスカラール
「その人と勝負をしたって言う訳じゃないんだけど、負けたって思った」

そう言った美都に、
「負けた?」

沙保は訳がわからないと言うように聞き返した。

「私は成孔さんの隣にいるべき人じゃないって思った。

成孔さんには、彼女のようなキレイな人が似合うんだろうなって思った」

美都は息を吐くと、いちご牛乳をすすった。

「気持ちは伝えたの?」

そう聞いてきた沙保に、
「気持ち?」

美都は聞き返した。

「その…あれだ、成孔さんって言う人に“好き”だって伝えたのか、って」

沙保の質問に美都は首を横に振って答えると、
「成孔さんには言われてる。

キスされるたびに私のことを“好きだ”とか“かわいい”とか“俺のものにしたい”とかって、いつも言われてる」
と、答えた。
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