アスカラール
「そのうえ、美都は秘書の女性に嫉妬している――うん、もうこれは恋以外の何ものでもないわ。

恋をしているから悩んで、心臓がドキドキして、嫉妬している――もう恋しかないわよ」

沙保はうんうんと首を縦に振って、自分が言ったことに納得をしていた。

「じゃあ、私はどうすればいいの?」

美都は言った。

「成孔さんに恋をしているなら、私はどうしたらいいの?」

初めての恋とその感情に戸惑っているのがよくわかった。

父と兄以外の異性に興味どころか関心すらも持たなかったため、どうすればいいのかよくわからないだろう。

「彼の方から積極的に攻めてきてる訳なんでしょ?

“好き”とか“かわいい”とか“俺のものにしたい”とかって、いろいろとアプローチされている訳なんでしょ?」

そう聞いてきた沙保に、美都は首を縦に振ってうなずいた。
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