アスカラール
「初めまして。

今日から働くことになりました、魚住律(ウオズミリツ)です。

よろしくお願いします」

彼を一言で言うならば“男”と言うよりも、“男の子”だなと美都は思った。

ココアブラウンの髪はさわってみたら、とても柔らかそうだ。

二重の切れ長の目に小さな鼻、少しだけ大きな唇は少しだけエキゾチックな感じがした。

身長は160センチと言ったところで、体型は華奢だ。

「なかなかよさそうな子ね」

コソッと沙保が美都に声をかけた。

「うん、そうだね」

それに対して美都は首を縦に振ってうなずいた。

朝礼が終わると、律は彼の指導を担当することになった先輩の元へと行った。

「さて、やろう」

美都は長い髪を左の方に寄せると、愛用しているバナナクリップで留めた。
< 153 / 218 >

この作品をシェア

pagetop