アスカラール
美都は律の弁当に視線を向けた。

鶏そぼろが乗った白いご飯にたまご焼き、鮭の塩焼き、煮豆、小松菜のおひたしと色鮮やかな弁当だった。

「でも本当は彼女に作ってもらいたいなー、なんて」

律はそう言うと、フフッと笑った。

「森坂さん、僕のためにお弁当を作ってくれませんか?」

「…へっ?」

何故か自分に話を振ってきた彼に、美都は訳がわからなかった。

「えっ、何で美都なの?」

沙保も訳がわからないようで、美都と律の顔を交互に見つめた。

「だって、森坂さんは僕の理想とドンピシャなんです」

そう答えた律に、美都の手からエビカツサンドが落ちそうになった。

「黒髪でかわいい顔の美人が僕の理想なんです」

嬉しそうに言った律に、
「確かに…」
と、沙保が小さな声で呟いた。
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