アスカラール
「森坂さん」

そんな沙保を無視すると、律は美都に顔を近づけた。

(あっ、肌がキレイだ…)

きめ細やかな彼の肌に、美都はどんな手入れをしているのだろうかと思った。

「森坂さんのこと、“美都さん”って呼んでもいいですか?」

「べ、別にいいですけど…」

そう答えた美都に、沙保は情けないと言うように額に手を当てた。

「じゃあ、そう呼びます。

よろしくお願いしますね♪」

律は近づけていた顔を離れると、フンフンと鼻歌を歌いながら弁当を食べ始めた。

「ちょっ…ちょっと、美都!」

沙保はグイッと美都の腕を引っ張って立たせると、早足で休憩所から連行した。

オフィスを後にすると、
「あんた、何をやってんのよ!?」

沙保は呆れたと言うように美都に怒鳴った。
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