アスカラール
「い、嫌じゃないですけど…」

心臓がドキドキと鳴っていて、とてもうるさい。

成孔に聞こえているんじゃないかと不安で仕方がない。

「けど?」

「…成孔さん、意地悪ですよ」

「“意地悪”って言われたの、小学3年生の時以来なんだけど」

赤くなっているであろう顔を成孔に見られるのが恥ずかしくて、美都は彼の胸に自分の顔を埋めた。

「おっとと…」

成孔が美都と一緒に後ろへ倒れたかと思ったら、2人一緒にソファーのうえで横になった。

「何で横になる必要があるんですか?」

思わず聞いた美都に、
「その方がいいんじゃないかなって思った」

成孔は答えた。

(よくわからないんですけど…)

本当に、成孔の前にいると自分のペースが乱される。
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