アスカラール
「髪の毛、本当にサラサラだね」

成孔の大きな手が髪の毛に触れていた。

「ありがとうございます」

褒められて悪い気はしないので、美都はお礼を言った。

「最近、何か変わったことあった?」

そう聞いてきた成孔に、
「変わったことですか?」

美都は聞き返した。

「例えば…えーっと、何だ?」

「変わったこと…と言えば、今月に入って新しく社員が入ってきたって言うことですかね」

美都は言った。

「へえ、珍しいね」

そう言った成孔に、
「その人、大学卒業と同時に旅行会社に就職する予定だったんですけれども倒産をしてしまったみたいで…」

美都は律から聞いたことを成孔に話した。

「ああ、それは災難だったね…。

それで美都が働いている会社に就職をした訳なんだ」

成孔は納得したと言うように言った。
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