アスカラール
昼休みになった。

「美都さーん、一緒にお昼に行きませんかー?」

パタパタと走ってデスクにやってきた律に、
「あたしも同行を希望してもいいですか?」

由真が美都の後ろから顔を出して律に聞いた。

彼女の顔は口元だけは笑っているが、目は笑っていなかった。

「か、構いませんよ、はい…」

そんな由真の怖い笑顔に、律はコクコクと首を縦に振ってうなずいた。

沙保が中心となっている“魚住律の魔の手から美都を守ろう大作戦”は、今日も進行中である。


午後の休憩時間、美都は沙保と一緒に給湯室にいた。

「沙保ちゃん」

レモンテイーで渇いた喉を潤すと、美都はコーヒーを淹れている沙保に声をかけた。

「どうしたの?」

そう聞いてきた沙保に、
「ちょっとやり過ぎだと思う。

魚住くんがかわいそうだよ」

美都は言った。
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