アスカラール
目の前のエレベーターのドアが閉まった。

「確かめればよかった…」

美都はそう呟くと、下矢印のボタンを押した。

次に止まったエレベーターに美都は乗ると、1階のボタンを押した。

「かっこよかったな…」

一瞬だけエレベーターで一緒になった男を頭の中に思い浮かべた美都は呟いた。

(このビルのどこかで働いている人なのかな?

それとも、用事があってきた人かな?)

屋上と地下を含めると60階近くある商業ビルには、いくつかの会社が入っているのだ。

チーンと、エレベーターが1階に止まった。

美都はエレベーターを降りると、ビルを後にした。

「おーい、美都」

ビルを後にしたら、元治に声をかけられた。

「あっ、お兄ちゃん!」

彼の後ろに車があるところを見ると、自分を迎えにきたみたいだ。
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