アスカラール
ようやく仕事が片づいたのは、もう少しで9時になるところだった。
「――やっと、終わった…!」
美都は保存を済ませてパソコンの電源を切ると、うーんと両腕をあげて伸びをした。
「終わりましたか?」
その声で、律がそこにいたことを思い出した。
「ええ、終わりました。
魚住くん、もう帰っていいですよ。
私は戸締りをしてから帰りますので」
スマートフォンをカバンの中に入れて他に忘れ物がないかどうかの確認をしながら、美都は言った。
「美都さん」
律が名前を呼んだかと思ったら、顔を覗き込んできた。
(近い…)
美都は近過ぎるこの距離に嫌悪を感じていることに気づいた。
この距離感は成孔と何度も経験をしているはずなのに、律が目の前にいると思ったら嫌だと感じている。
「――やっと、終わった…!」
美都は保存を済ませてパソコンの電源を切ると、うーんと両腕をあげて伸びをした。
「終わりましたか?」
その声で、律がそこにいたことを思い出した。
「ええ、終わりました。
魚住くん、もう帰っていいですよ。
私は戸締りをしてから帰りますので」
スマートフォンをカバンの中に入れて他に忘れ物がないかどうかの確認をしながら、美都は言った。
「美都さん」
律が名前を呼んだかと思ったら、顔を覗き込んできた。
(近い…)
美都は近過ぎるこの距離に嫌悪を感じていることに気づいた。
この距離感は成孔と何度も経験をしているはずなのに、律が目の前にいると思ったら嫌だと感じている。