アスカラール
「お兄ちゃんってさ、相手を大切にし過ぎている部分があるよね?」
そう言った和香に成孔は我に返った。
「よく半年も手を出さずに我慢できたよね」
「おいおい、それは俺の高校の時の話だろ。
あの時は初めてでどうすればいいのかわからなかったんだ」
20年以上も前の恋を掘り返された成孔は頭が痛いと言うように人差し指でこめかみを押さえた。
「その後に出会ったのが、今つきあっている例の彼女なんだよね。
20年近くも片思いするなんて、我が兄ながら健気だわ」
和香はうんうんと首を縦に振ってうなずいた。
「け、健気って…」
妹相手にタジタジになっている情けない自分の姿を美都にだけは見せたくないと心の底から思った。
そう言った和香に成孔は我に返った。
「よく半年も手を出さずに我慢できたよね」
「おいおい、それは俺の高校の時の話だろ。
あの時は初めてでどうすればいいのかわからなかったんだ」
20年以上も前の恋を掘り返された成孔は頭が痛いと言うように人差し指でこめかみを押さえた。
「その後に出会ったのが、今つきあっている例の彼女なんだよね。
20年近くも片思いするなんて、我が兄ながら健気だわ」
和香はうんうんと首を縦に振ってうなずいた。
「け、健気って…」
妹相手にタジタジになっている情けない自分の姿を美都にだけは見せたくないと心の底から思った。