アスカラール
「毎度のことながら聞くけどさ、お前には相手はいないのか?

仕事が楽しいのはわかるけど、40近くになっても独身でいるって言うのは…」

「あー、はいはい」

成孔から逃げるように和香はキッチンを出た。

「おい、和香…」

「お兄ちゃん、その話を始めると長いんだもん。

私は私で仕事をしながら相手を見つけますから大丈夫でーす」

あっかんべーと言うように舌を出すと、和香は早足でゲストルームに逃げたのだった。

「ったく…」

また逃げられたと、成孔は呟いた。

「何が“仕事をしながら相手を見つけます”だ。

じゃあ、早いところ相手を見つけて身を固めてくださいな」

ゲストルームに逃げ込んだ和香に向かって呟くと、成孔はバスルームへと足を向かわせた。
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