アスカラール
「あんたたちの間に何が起こったのか、誰から見ても明白よ。

それが気になって仕事に集中したくてもできないんだから」

「気にしなければいいじゃん」

美都は言った。

「それができたら苦労しないから問いつめているんでしょ。

魚住くんに聞こうとしたら逃げられるし」

沙保は呆れたと言うように言い返した。

「…今は言いたくない」

美都は呟くように言った。

「はっ?」

思わず聞き返した沙保に、
「今は言いたくないの」

美都はもう1度言った。

「どうして?」

「私が理由を言ったら沙保ちゃんはどうするの?」

「いや、どうするって…」

美都は食べ終わったカルボナーラの容器とプラスチック製のフォークをコンビニの袋に入れた。
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