アスカラール
美都はコクリと、カシスオレンジを飲んだ。
成孔の前で隠し事は無用だと言うことは理解している。
コトン…と、美都はグラスをカウンターのうえに置いた。
「さっきの人――魚住くんって言う、今月に入社してきた例の社員なんですけど――に、数日前まで言い寄られていたんです」
そう話を切り出すと、成孔の顔を見た。
「続けて」
成孔が続きを促してきた。
「理想の人だって言われて、“美都さん”って名前を呼ばれて、指導役の先輩がいるのに何かあると私のところにきたりとか…そう言う感じでなんですけど、魚住くんにつきまとわれていたんです。
でも沙保ちゃんや由真ちゃんや高崎さんが私のことを守ってくれたから大きな被害は受けなかったんですけどね」
そう言って笑った美都だったが、彼の顔は笑っていなかったのでやめた。
成孔の前で隠し事は無用だと言うことは理解している。
コトン…と、美都はグラスをカウンターのうえに置いた。
「さっきの人――魚住くんって言う、今月に入社してきた例の社員なんですけど――に、数日前まで言い寄られていたんです」
そう話を切り出すと、成孔の顔を見た。
「続けて」
成孔が続きを促してきた。
「理想の人だって言われて、“美都さん”って名前を呼ばれて、指導役の先輩がいるのに何かあると私のところにきたりとか…そう言う感じでなんですけど、魚住くんにつきまとわれていたんです。
でも沙保ちゃんや由真ちゃんや高崎さんが私のことを守ってくれたから大きな被害は受けなかったんですけどね」
そう言って笑った美都だったが、彼の顔は笑っていなかったのでやめた。