アスカラール
「――美都…」

名前を呼ぶその声に答えるように、
「――成孔、さん…」

美都は彼の名前を呼んで、たくましいその背中に自分の両手を回した。

自分の唇を成孔の耳元に寄せると、
「――好き…」

美都はささやくように告げた。

「――成孔さんが、好きです…」

ウェーブがかかった黒い髪も、目も、鼻も、唇も、ピアスをしている耳も、刺青が入っている左腕も、好んで身につけているその甘い香りも、何もかも全てを含めて彼が好きだ。

「――俺は…」

成孔がそう言って、自分を見つめてきた。

「――俺は、愛してる…。

美都を愛してる…」

返されたその言葉は美都の胸に深く染み入った。

「――美都…」

「――ッ、成孔さん…」

躰も心も何もかも全てを彼に捧げながら、美都は目を閉じた。
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