アスカラール
目を開けると、
「起きた?」

成孔が自分の顔を覗き込んでいた。

「――何をしていたんですか…?」

寝起きのせいと言うこともあってか、聞いたその声はかすれていた。

「俺も少し前までは眠ってた。

それからずっと、美都の寝顔を見つめてた」

そう答えた成孔に、
「寝顔を見つめてたって、飽きなかったんですか?」

美都はクスッと笑いながら聞き返した。

「飽きなかった。

むしろ、もっとずっと見ていたいって思った」

成孔はフフッと笑うと、美都の髪をなでた。

「あっ!」

美都は大きな声をあげた。

「どうしたの?」

突然大きな声を出した美都に驚きながら、成孔は聞いた。

「お父さんとお兄ちゃんに連絡してない…」

やってまった…と呟いて、美都は枕に顔を埋めた。
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