アスカラール
「君は、確か…?」

元治が彼女に声をかけたら、
「初めまして、有栖川の秘書の雑賀真生と申します」

真生は自己紹介をすると、頭を下げた。

「は…初めまして、美都の兄の森坂元治です」

相手が言った手前、元治も自己紹介をした。

「妹さん、とても幸せそうですね」

2人の様子に真生が言った。

「ええ、そうですね。

正直なことを言うと、ホッとしています。

年齢の離れた妹の花嫁姿を見れてよかったです」

元治はふうっと息を吐いた後で笑った。

「森坂さんは独身なんですか?」

そう聞いた真生に、
「恥ずかしながら、40過ぎているのに独身です」

元治はハハッと自虐的に笑った。

「一緒ですね、私も独身なんです」

真生はそう答えると微笑んだ。
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