アスカラール
雲ひとつない青空が自分たちを見下ろしている。

「美都」

名前を呼ばれて視線を向けると、夫になった成孔がいた。

「成孔さん」

美都が名前を呼んだら、成孔は嬉しそうに微笑んだ。

「俺、今日が1番幸せかも」

成孔が言った。

「ずっと好きだった女の子とつきあうことができたうえに、結婚までできたんだもん」

そう言った成孔に、
「私も幸せです。

初めて好きになった人が隣にいるんですから」

美都は言い返した。

「嬉しいことを言うなよ」

成孔はフフッと笑うと、美都の頬に唇を落とした。

「頬だけ、ですか…?」

唇にされるかと思った美都は呟くように言った。

「唇は夜のお楽しみ」

成孔はそう言ってパチリとウインクをした。
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