アスカラール
「はあ…」

柔らかく言ってきた高崎に、美都はそう返事をすることしかできなかった。

「それで、今日は何をしにきたんですか?」

そう聞いた美都に、
「貝原さんにこの書類を渡して欲しいのですが」

高崎は美都に書類を渡した。

(ああ、例の企画か)

美都はそんなことを思いながら、
「わかりました、渡しておきます」

高崎の手から書類を受け取った。

チラリと同僚の貝原沙保(カイバラサホ)のデスクに視線を向けると、当の本人はいなかった。

(トイレに行ってるのかな?

それだったら、デスクのうえに置けばいいのに)

そんなことを美都は心の中で呟いた。

美都が書類を受け取ったことを確認すると、
「それじゃあ、また。

美都さん、今度は一緒に食事に行きましょう」

高崎は手をあげて、美都の前から立ち去ろうとした。
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