アスカラール
積極的なアプローチ
美都は目を開けた。

見知った天井が視界に入ったのと同時に、カーテンのすき間から太陽の光が差し込んでいた。

「――ああ、朝だ…」

寝起きのせいで渇いている声で呟くと、美都は躰を起こした。

昨日、兄の大学時代の後輩である有栖川成孔と再会した。

再会をしたと言っても、美都は彼のことを何も覚えていなかった。

その彼にキスをされて宣言をされた。

――美都を俺のものにする

ずっと欲しかったと、成孔に言われた。

(…私は、告白された?)

今の今まで縁がなかったので、美都はどうすることもできなかった。

それから成孔に自宅まで送られて、家の前で別れて、いつも通りにお風呂に入って寝て、朝を迎えたと言う状況だ。
< 38 / 218 >

この作品をシェア

pagetop