アスカラール
もうそろそろで話を切りあげたいと、成孔に言いたかったのだ。

「美都?」

名前を呼んできた成孔に、
「あ…そ、そうですね」

美都は首を縦に振ってうなずいて、返事をした。

「明日もまた仕事があるからね。

本当はもっと美都と話をしていたいところだけど…それはまた別の機会に、と言うことで」

成孔が笑いながら言った。

「じゃあ…おやすみ、美都」

「おやすみなさい…」

そう言いあった後、電話を切ったのだった。

美都はスマートフォンを耳から離すと、
「男の人と電話したの、初めてだ…」
と、呟いた。

手帳に視線を向けると、先ほど成孔と交わした約束があった。

「本当に、行くんだな…」

美都はそう呟くと、ベッドから腰をあげた。

スマートフォンの電源を切ると、それを充電器に差し込んだ。

手帳をカバンの中に入れると、歯みがきをするために自室を後にした。
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