アスカラール
真夏の夜の秘め事
当日を迎えた。

美都は目を覚ました瞬間から落ち着くことができなかった。

(本当に成孔さんと一緒に行くんだ…)

フワフワとした気持ちに包まれながら、美都は心の中で呟いた。

「美都、どうした?」

元治に声をかけられ、美都はハッと我に返った。

今は兄が作ってくれた朝食を食べているところだと、美都は思い出した。

「あ…ううん、何でもない」

美都は首を横に振って答えると、クロックマダムをかじった。

「今日は帰りが遅くなるんだよな?」

コーヒーを飲みながら聞いてきた元治に、
「うん、七夕祭りに行くからね」

美都は答えた。

「ついでに夕飯もそこで済ませるから」

そう言った美都に、
「わかった。

だけど、あんまり遅くなるなよ」

元治は返事をしたのだった。
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