アスカラール
「ええっ!?」

沙保は驚いたと言うように大きな声をあげた。

「い、一緒に行く人がいるって…あんた、それ本当なの?」

信じられないと言うように聞いてきた沙保に、
「本当だよ」

美都は答えた。

「…女の子、なんだよね?」

「ううん、男の人だよ」

沙保の問いに、美都は首を横に振って答えた。

「ああ、お兄さんね」

納得をしたと言うように、沙保はポンと手をたたいた。

「お兄ちゃんの大学時代の後輩の人と行くの」

それに対して、美都は言った。

「へ、へえ…」

沙保はそう返事をすると、高崎に視線を向けた。

「それは、よかったですね…」

そう言った高崎の口元は微笑んでいたが、目は涙目だった。

(高崎さん、かわいそうに…)

そんな彼の様子に、沙保は心の底から同情するしか他がなかった。
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